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『ザ・バックヤード』きのこ総合研究所に潜入!「きのこバカセ」大内謙二さんとは?エリンギ普及には桑田佳祐の影響も
2026年9月23日放送のNHK Eテレ『ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪』。今回の舞台は、なんと「きのこ総合研究所」です。
筆者はもともと、きのこに興味があります。スーパーに行けば、エノキダケ、ブナシメジ、エリンギ、マイタケなどが当たり前のように並んでいますが、考えてみれば不思議な食材ですよね。
しかも、現在私たちが普通に食べている「白いエノキダケ」や「苦くないブナシメジ」、さらには「大量生産できるエリンギ」には、長年の研究開発の歴史がありました。
番組で案内役を務めるのが、「きのこバカセ」と呼ばれるホクト株式会社・きのこ総合研究所の大内謙二さんです。
いったいどんな人物なのでしょうか。さらに、エリンギが一気に全国へ広まった背景には、意外にもサザンオールスターズの桑田佳祐さんが関係していたといいます。
今回は、そんな「きのこ研究」の知られざる世界を紹介します。
『ザ・バックヤード』で紹介される「きのこ総合研究所」とは?
今回の『ザ・バックヤード』で取り上げられるのは、長野県に本社を置くホクト株式会社の「きのこ総合研究所」です。

会社HPより
ホクトといえば、スーパーのきのこ売り場ではおなじみの会社でしょう。
きのこ総合研究所が設立されたのは1983年12月。ここでは、新品種の開発だけでなく、新しい栽培素材や栽培技術、きのこの健康機能、原菌管理、品質管理など、実に幅広い研究が行われています。ホクトキノコ
研究所が掲げる基本方針には、「高品質な実用品種の開発」「健康への効果の実証」「高度な栽培技術の開発」「安定した優良種菌の生産」「安全・安心の品質保証」などがあります。
つまり、スーパーに並んでいるきのこの「おいしさ」から「作りやすさ」「安全性」までを総合的に研究している場所なのです。
世界初!今では当たり前の「白いエノキダケ」
番組で紹介される大きな成果のひとつが、白いエノキダケです。
いまエノキダケといえば、真っ白で細長い姿を思い浮かべます。しかし1980年代までは、現在ほど純白のものばかりではありませんでした。
ホクトの研究所では品種改良を進め、光を当てても茶色く変色しにくい「純白系エノキタケ」の開発に成功します。
「エノキタケホクトM-50」は1988年11月5日に品種登録され、その後全国へ広まっていきました。現在では、ごく普通に見かける白いエノキですが、その裏側には研究者たちの試行錯誤があったわけです。
普段何気なく鍋に入れているエノキを見る目が、ちょっと変わりそうですね。
昔のブナシメジはもっと苦かった?
さらに意外だったのが、ブナシメジです。
現在のブナシメジは、クセが少なく、炒め物や鍋、炊き込みご飯など幅広い料理に使えます。
ところが、もともとのブナシメジには苦味が強いものがありました。
そこで研究所では、菌同士を掛け合わせ、味を確認しながら品種改良を繰り返します。その結果、苦味を抑え、より食べやすいブナシメジが生み出されました。
きのこの品種改良というと、何となく機械的な作業を想像してしまいますが、実際には「育てて、食べて、評価する」という非常に地道な研究です。
一つの新品種が食卓へ届くまでには、長い年月がかかります。
「きのこバカセ」大内謙二さんとは?
今回の番組で大きな注目を集めそうなのが、「きのこバカセ」こと大内謙二さんです。
大内さんは、ホクト株式会社「きのこ総合研究所」の開発研究部長を務める、まさにきのこ研究のスペシャリストです。
近年のインタビューでは、自身について、会社では「きのこ博士」ならぬ「きのこバカセ」と呼ばれていると紹介しています。
しかも、大内さんのきのこ歴はかなり長いのです。
大内さんによると、もともと微生物や発酵食品に興味があり、近畿大学在学中、きのこの研究に熱心な先生の授業を受けたことが、この世界へ入るきっかけになったそうです。
授業がおもしろく、きのこの不思議な生態にどんどん引き込まれていったといいます。
2025年のインタビューでは、大学時代から含めて約38年間きのこと関わり、ホクト入社後も約36年間研究を続けてきたと語っています。ニッポン放送
さらに驚くことに、「生まれ変わったら、きのこになりたい」と思うほど、きのこが好きなのだとか。
これなら「きのこバカセ」という呼び名も納得ですね。
大内謙二さんが25年以上研究する「ポルチーニ」
大内さんが長年取り組んできたテーマのひとつが、高級きのことして知られる「ポルチーニ」です。
ポルチーニといえば、イタリア料理などでよく使われ、強い香りとうま味を持つ高級食材です。
実は日本にも、ヤマドリタケやヤマドリタケモドキなど近縁種が自生しています。
大内さんは長野県の山へ入り、自ら野生のポルチーニ類を探し、菌を採取して培養。人工栽培の研究を25年以上続けてきました。FNN News
研究は簡単ではありませんでした。
培養した菌糸から芽が出ても、大きなきのこまで成長させるには培地や温度など、さまざまな条件を調整する必要があります。
試行錯誤を重ね、人工的にポルチーニを育てるところまで研究は進んでいますが、商品化には生産コストなどの課題が残っています。
ちなみに大内さんは、ポルチーニについて「きのこの中でも圧倒的に一番おいしい」と話すほどの惚れ込みよう。
いつの日か、国産の生ポルチーニが普通にスーパーに並ぶ日が来るのでしょうか。
エリンギは日本に昔からあったきのこではない

番組より
そして今回の番組で、とくにおもしろいのがエリンギの歴史です。
今では当たり前の食材ですが、エリンギは日本の昔ながらのきのこではありません。
ホクトによると、エリンギは中部ヨーロッパや東欧、中央アジアなどに自生するきのこです。ホクトでは研究を重ね、1995年に本格的な栽培・販売を開始しました。
ところが、当初はなかなか知名度が上がりませんでした。
さらに大量生産にも問題がありました。
エリンギは大量に繰り返し栽培すると病気が発生し、生育途中で枯れてしまうことがあったそうです。農薬に頼らず、衛生管理や栽培方法を工夫しながら安定生産の方法を確立していきました。
その結果、1990年代後半には大量生産できる工場が稼働するようになります。
エリンギ人気の火付け役は桑田佳祐だった?
しかし、たくさん作れるようになっても、売れなければ意味がありません。
ここで登場するのが、なんとサザンオールスターズの桑田佳祐さんです。
ホクトの「きのこバカセ」が2025年の取材で明かしたところによると、2000年11月ごろ、桑田佳祐さんがテレビの歌番組でエリンギを紹介したそうです。
桑田さんは「最近はまっているキノコ」として、ポケットからエリンギを取り出して紹介したといいます。ヨロズニュース
これをきっかけに、エリンギの知名度が急上昇。
一時は爆発的に売れ、ホクトでは大量生産に対応するため工場を増設するほどだったといいます。
これはおもしろいエピソードですね。
ただし、桑田佳祐さんがエリンギを日本に持ち込んだわけではありません。
ホクトではすでに1995年から本格栽培・販売を始め、1996~2000年ごろには大量生産体制を整えていました。
そこへ桑田さんによるテレビでの紹介が重なり、「エリンギ」という名前が一気に一般家庭へ浸透した、という流れになります。
番組情報にある「2001年頃から大量に出回るようになった」という話とも、時期的に一致します。
テレビの影響力が非常に大きかった時代とはいえ、一本のきのこを人気歌手が紹介したことで、食文化そのものが変わっていくのは興味深いですね。
今では1日約49.7トンを栽培
現在、エリンギは完全に日本の食卓へ定着しています。
ホクトによると、全国のきのこセンターで栽培されるエリンギは、1日約49.7トン。
出荷までは約42日間かかり、温度や湿度などを管理しながら育てられています。
コリコリとした食感があり、縦に裂けば肉厚感が楽しめ、輪切りにすればホタテのような食感にもなります。
炒め物、パスタ、鍋、炊き込みご飯など、使い道も豊富です。
大内さんは「エビチリ」ならぬ、輪切りエリンギを使った「エリチリ」もおすすめしており、「エビを超えた」と思うほど気に入っているそうです。
これはぜひ試してみたいですね。
きのこはまだまだ未知の食材
きのこ総合研究所の研究を見ていると、きのこは身近な食材でありながら、まだ分かっていないことの多い生物であることが分かります。
ホクトでは現在も新品種の開発だけでなく、マツタケやホンシメジなど人工栽培が難しいきのこの研究、さらには健康機能に関する研究なども行っています。
研究所では、毎日のように菌を育て、掛け合わせ、味や形、生産性などを確認しています。
私たちがスーパーで数百円で買っている一パックのきのこにも、長年の研究の積み重ねがあるわけです。
まとめ
2026年9月23日放送の『ザ・バックヤード 知の迷宮の裏側探訪』では、ホクト株式会社の「きのこ総合研究所」が紹介されます。
この研究所からは、現在では当たり前となった純白のエノキダケや、苦味を抑えたブナシメジ、さらに大量・安定生産できるエリンギなど、私たちの食卓を変えた研究成果が生まれてきました。
そして番組に登場する「きのこバカセ」大内謙二さんは、大学時代から約40年近くきのこと向き合ってきた研究者です。とくにポルチーニについては25年以上も人工栽培の研究を続けています。
さらに興味深いのがエリンギの歴史です。
ホクトが1995年ごろから本格的な栽培・販売を始め、量産体制を整えた後、2000年11月ごろに桑田佳祐さんがテレビでエリンギを紹介。それを契機のひとつとして知名度が急上昇し、2001年ごろから広く食卓へ浸透していきました。
普段何気なく食べているきのこですが、その裏側を知ると、実に奥が深いですね。
「きのこバカセ」が案内してくれる今回の『ザ・バックヤード』。きのこ好きなら、かなり気になる30分になりそうです。

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