提灯絵師・上田幸美さんとは?学歴・経歴から仕事、結婚まで|大阪の街を彩る「図研むしまつ」の職人
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テレビのグルメ番組を見ていると、飲食店の軒先に掛かる個性的な提灯が紹介されることがあります。
そこで知ったのが、大阪を拠点に活動する提灯絵師・上田幸美(うえだ・さちみ)さんです。
居酒屋や焼き鳥店、たこ焼き店など、関西の飲食店を歩いていると当たり前のように目にする提灯。しかし、そこに描かれた文字やイラストが、職人によって一つひとつ手描きされていることは意外と知られていません。
上田さんは大阪市福島区を拠点とする「図研むしまつ」の代表。提灯だけでなく、暖簾、看板、メニュー、舞台セットなどにも文字や絵を描く、いわば「街の文字をつくる職人」です。公式サイトでは、自ら仕事をシンプルに「字を書くこと」と紹介しています。(図研むしまつ)
いったい、どんな人物なのでしょうか。
上田幸美さんのプロフィール

newsランナーに登場
上田幸美さんは1976年、三重県志摩市生まれです。
2024年4月に掲載されたインタビューでは47歳、大阪市福島区在住と紹介されていました。(ヘンとネン)
現在は大阪市福島区を拠点に「図研むしまつ」を営み、提灯の絵付けや文字入れを中心に活動しています。
上田さんの仕事を単純に「提灯を作る人」と考えると、少し違います。
提灯そのものを一から製造するというより、出来上がった提灯などに、店名や家紋、イラスト、図柄を手描きして仕上げていく「印入れ」「文字描き」の職人です。
さらに暖簾や看板、献立表などの文字書きにも仕事の幅を広げています。飲食関連業者を紹介するサイトでも、「提灯・のれんをオリジナルの手書きで作成」と紹介されています。
学歴は大阪芸術大学付属大阪美術専門学校

上田さんは1995年、18~19歳ごろに三重県志摩市から大阪へ出てきました。
進学先は、
大阪芸術大学付属大阪美術専門学校 デザイン学科
です。
専門学校への進学をきっかけに大阪での生活が始まりました。
現在の仕事を見ると、子どものころから提灯職人の家に生まれ、代々技を受け継いできた人物のようにも見えます。
ところが上田さんは、いわゆる「家業を継いだ職人」ではありません。
デザインを学ぶため地方から大阪へ出てきて、就職した会社で偶然ともいえる形で提灯や暖簾の文字書きに出会った人物なのです。
ここが上田幸美さんの経歴のおもしろいところです。
道具屋筋で提灯職人としての基礎を身につける
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専門学校卒業後の1997年、上田さんは大阪・道具屋筋にある株式会社花月堂へ入社しました。
道具屋筋といえば、飲食店で使う厨房用品や調理道具、看板、暖簾などの専門店が集まる大阪有数の商店街です。
上田さんが担当したのは、主に飲食店向けの店内・店外装飾品。そこで暖簾や提灯に文字を書く職人として働くことになりました。
現在の仕事と、ほぼ同じ内容だったそうです。
そして大きかったのが、この職場で一緒に働いていた先輩職人との出会いでした。
上田さんは公式プロフィールで、一緒に仕事をしていた男性から「字や絵を書くことを教えてもらった」と振り返っています。
学校でデザインを学び、職場で職人の技術を身につける。
この二つが組み合わさったことが、現在の上田さん独特の作風につながっているのでしょう。
2005年に独立、「図研むしまつ」をスタート
上田さんは2005年に花月堂を退社します。
その後、再就職しようとしたものの、なかなか仕事が決まりませんでした。
そこで上田さんが考えたのが独立でした。
公式サイトには、就職面接も飛び込み営業も同じようなものではないかと考え、「自営業しよう!」と決断した経緯がユーモラスに書かれています。(図研むしまつ)
こうして2005年、「図研むしまつ」を立ち上げました。
同じ年には、落語の定席として知られる天満天神繁昌亭の提灯書きにも参加。寄付者の名前を大量の提灯に書き入れています。
独立したばかりの職人にとって、大きな仕事だったことは想像に難くありません。
そこから約20年。上田さんは大阪の飲食店を中心に、数多くの提灯や暖簾を手掛ける存在となりました。
上田幸美さんの提灯が魅力的な理由
上田さんの作品を見ると、昔ながらの「黒い筆文字だけ」という提灯とはかなり印象が違います。
もちろん伝統的な文字も書きますが、イラストや色を大胆に使った作品も多く、店の個性そのものを提灯に落とし込んでいるのが特徴です。
例えば大阪市の「もつ鍋やきとり鹿屋」では、大きな丸提灯に屋号の「鹿屋」を図柄のなかへ組み込み、松竹梅を思わせるデザインを制作。さらに小型提灯を約30個並べ、文字入りとイラスト入りを交互に配置しています。

また「おばんざい酒場 こてつ」では、店名の由来になった愛犬のイラストを提灯に描き、表通りからでも店が分かるよう「酒」「おばんざい」の文字を配置。

つまり、上田さんにとって提灯は単なる照明ではありません。
「この店は何の店なのか」「どんな雰囲気なのか」を一目で伝える看板であり、店の顔なのです。
デザイン学校出身という経歴も、こうした柔軟な発想につながっているのではないでしょうか。
提灯だけではない!意外な仕事も
上田さんの仕事は提灯だけにとどまりません。
公式プロフィールには、
・大阪松竹座の舞台セットへの文字書き
・BEAMS JAPAN新宿店の木製名札への文字書き
・餃子の王将直営店の暖簾
・「たこ焼あほや」の提灯・暖簾
・東急ハンズ渋谷店への出店
なども紹介されています。
さらに公式サイトを見ると、店のチラシや扇子の図案なども手掛けています。
「提灯絵師」という肩書から想像する以上に活動範囲は広く、筆文字・イラスト・店舗デザインを横断するクリエイターと表現したほうが実像に近いかもしれません。
テレビや雑誌にも登場する有名職人
業界では知られた存在になった上田さんは、メディアにもたびたび登場しています。
2013年にはMBSテレビ『ポテトなじかん』に出演。
2014年には雑誌『Precious』の働く女性特集に登場しました。
さらに2019年にはABCテレビ『LIFE~夢のカタチ~』が上田さんに密着。30分番組で仕事ぶりが紹介されています。
2023年には「大阪サウナDESSE」のラウンジに吊るす提灯の名入れを担当。同施設のイベントでも、その場で提灯への名入れを披露しています。
最近になってテレビ番組などで上田さんを知った人も多いでしょうが、実際には20年以上にわたって大阪の飲食店文化を支えてきた職人なのです。
上田幸美さんは結婚している?夫は?
プライベートについて気になる人もいるでしょう。
上田さんは結婚しており、夫がいることが確認できます。
2024年のインタビューでは、飼い猫「むーちゃん」を迎える際、すでに別の猫を飼っていたため、夫から新しい猫を迎えることに反対されたというエピソードを本人が語っています。(ヘンとネン)
一方で、夫の名前や職業など詳しいプロフィールは公表されていません。
また、テレビなどで「夫とは別々に暮らしている」という生活スタイルが紹介されたことがありますね。朝、昼、晩、食事は1人だとも…。
ただ、公式プロフィールや公開インタビューからは、現在の居住形態まで裏付けることはできませんでした。
したがって「夫婦仲が悪い」といった解釈をするのは早計です。
夫婦の暮らし方にはさまざまな形がありますし、少なくとも2024年の本人インタビューでは自然に「夫」という言葉が登場していますから。
むしろ上田さんの日常を垣間見せてくれるのが猫との生活です。
大阪・野田の長屋で黒猫の「むーちゃん」と暮らし、近所のおじいちゃん、おばあちゃんにも猫がかわいがられているという話からは、地域に溶け込んだ気取らない人柄が伝わってきます。
提灯絵師は上田幸美さん以外にもいる?
もちろん、提灯に文字や絵を描く職人は上田さんだけではありません。
特に東京には「江戸手描提灯」という伝統工芸があります。
東京都によると、江戸時代半ばには浅草周辺に多くの提灯の描き職人がおり、明治以降は提灯製造と文字描きの分業が進みました。現在も職人が江戸文字や家紋などを手描きしています。
例えば品川区の伝統工芸師・下田洋靖さんは1982年に入門し、2001年に家業を継いだ三代目。祭り提灯などに文字や家紋を描いています。(品川区公式サイト)
台東区には山崎屋源七提灯店8代目の山田記央さんがいて、江戸手描提灯の職人として活動しています。(台東区公式 伝統工芸品サイト)
荒川区にも「泪橋大嶋屋」の村田修一さん、村田健一郎さんらがおり、提灯文字だけでなく「地口絵」と呼ばれる伝統的な絵も受け継いでいます。(荒川区公式サイト)
京都にも多くの提灯職人がいます。約200年続く小嶋商店では、竹ひご作りから紙貼り、絵付けまでを家族や職人が分担し、京提灯の伝統を守っています。(MBS)
つまり「提灯絵師」は決して一人だけの特殊な職業ではなく、日本各地に受け継がれている職人文化なのです。
ただし上田さんの場合、伝統工芸の家に生まれて技を継承したタイプではなく、デザイン学校から飲食店向け装飾の世界へ入り、自分の感覚で現代的な提灯表現を築いてきた職人という点が大きな特徴でしょう。
まとめ|街の風景をつくっている提灯絵師・上田幸美さん
上田幸美さんは1976年、三重県志摩市生まれ。大阪芸術大学付属大阪美術専門学校デザイン学科で学ぶため大阪へ移り、卒業後は大阪・道具屋筋の花月堂に就職しました。
そこで提灯や暖簾への文字・絵入れの技術を身につけ、2005年に独立。「図研むしまつ」を立ち上げています。
現在では飲食店の提灯を中心に、暖簾、看板、献立表、舞台セットなど幅広い仕事を担当。テレビや雑誌にも取り上げられる存在となりました。
そして何より魅力的なのは、上田さんの作品が単なる「文字入れ」ではないことです。
店主と話し、店の場所を見て、「遠くからどう見えるか」「何の店なのか伝わるか」「どんな雰囲気にしたいか」まで考えながら文字や絵を形にしています。
何気なく通り過ぎていた居酒屋の赤提灯。
実はそこには、一人の職人が考え抜いた文字の太さや配置、色、絵柄が詰まっています。
上田幸美さんは提灯を描いているだけではありません。
大阪の飲食店の「顔」をつくり、夜の街の風景そのものを描いている職人なのです。


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