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テレビ番組で偶然目にして、初めて知った梨の名前がありました。
「なしおとめ」――兵庫県で生まれた初のオリジナルブランド梨です。
今回はニュース情報をもとに、この希少な梨の魅力と、日本の梨の歴史、そして現在活躍しているブランド梨についてご紹介します。
「なしおとめ」ってどんな梨?

画像引用:但馬新聞
「なしおとめ」は、兵庫県香美町(かみちょう)で栽培されている梨で、兵庫県として初めてのオリジナルブランドとして誕生しました。開発には実に20年以上もの歳月がかけられたそうで、平成30年(2018年)にデビューした比較的新しい品種です。

画像引用:但馬新聞
香美町は「香住梨(かすみなし)」の産地として県内でも有数の梨どころとして知られています。その歴史は古く、昭和4年(1929年)に「二十世紀梨」の苗木が植えられたことがはじまりでした。
現在では県内一の栽培面積を誇る「二十世紀」をはじめ、「幸水」「新高」など10種類もの香住梨が栽培されており、「なしおとめ」はその中でも新しい顔として注目を集めています。
もっとも大きな特徴は、なんといっても果肉の食べ応えです。果実重は350〜400gほどの大玉でありながら、果芯(芯の部分)が小さく、可食部が多いのが「なしおとめ」ならでは。
芯が少ない分、実をたっぷり味わえるというのは、聞くだけでもおいしそうですよね。糖度は12〜13度と高めで、みずみずしくなめらかな舌触り、そして洋梨を思わせる芳醇な香りと、さっぱりとした上品な甘みが持ち味です。
大きさや色などの厳しい基準をクリアしたものだけが「なしおとめ」として認定される仕組みで、生産量は約3トンと非常に少なく、まさに希少な梨といえます。
収穫期は8月中旬から下旬にかけてで、JAたじまの直売所「たじまんま」などで、今月13日ごろから約1週間限定で販売される予定とのことです。見かけたら、ぜひ味わってみたい一品です。
これは食べてみたいなあ、筆者もそう思いましたよ!
「なしおとめ」という名前も印象的です。限りなくなめらかな舌触りと、芳醇な香り、そして上品な甘さは、まさに“おとめ”と呼ぶにふさわしいクオリティ、ということで名付けられたのだそうです。
栽培が行われている香美町香住区は、日本海に面したゆるやかな山の斜面に梨畑が広がる土地で、日本海からの潮風を受けながら育つのが特徴です。
さらに、地元の香住漁港でだけ水揚げされる紅ズワイガニ「香住ガニ」のカニガラを加えた有機肥料を用いるなど、まさに“海の恵み”を存分に受けて育てられています。
若手生産者を中心に栽培面積の拡大にも力が入れられており、香住梨を代表する新ブランドとして、今後さらに知名度を上げていきそうな品種です。
梨の歴史をたどってみると

イメージ画像です
そもそも日本人と梨の付き合いは非常に古く、遺跡から種子が発見されていることから、弥生時代にはすでに食べられていたと考えられています。2000年以上も前から親しまれてきた果物というのは、驚きですね。
現在流通している主要な品種の多くは、明治時代以降に品種改良によって生まれたものです。日本梨には大きく分けて「赤梨」と「青梨」があり、「幸水」や「豊水」のように果皮が茶色いものが赤梨、「二十世紀」のように緑色をしているものが青梨に分類されます。
なかでも「二十世紀梨」は1888年(明治21年)に千葉県松戸市で発見された、非常に歴史の長い品種です。当初は「新太白」と呼ばれていましたが、20世紀を代表する梨になってほしいという願いを込めて1904年に改名されました。
鮮やかな黄緑色の果皮と、甘みと酸味がバランスよく調和した多汁な果肉が魅力で、後に鳥取県のブランド梨としても広く知られるようになります。
一方、赤梨の代表格である「幸水」は1959年(昭和34年)に命名登録された品種で、「菊水」と「早生幸蔵」を交配して生まれました。
名前は両親である「菊水」の「水」と、「早生幸蔵」の「幸」から一文字ずつ取って名付けられたそうです。
そして「豊水」は「幸水」と「イ-33(石井早生×二十世紀)」の交配とされ、甘みが強くやさしい酸味とのバランスが人気を集めています。
「幸水」「豊水」「新水」の3品種は「三水」と呼ばれることもあり、幸水・豊水・二十世紀の3品種だけで、日本の梨生産量の約7割を占めるといわれるほどの代表格です。それぞれ収穫時期が異なるため、7月下旬から9月にかけて、次々と旬を迎える梨を長く楽しめるのも魅力のひとつです。
現在活躍しているブランド梨たち
三大品種以外にも、全国各地には個性豊かなブランド梨が数多く存在します。鳥取県の「新甘泉(しんかんせん)」は、糖度が14度近くまで上がることもある甘さが際立つ品種で、シャキッとした食感も楽しめると人気です。
同じく鳥取が誇る「二十世紀梨」も、県を代表するブランドとして今なお愛され続けています。
長野県などでは「南水(なんすい)」が知られ、果肉がやわらかくジューシーな味わいが特徴です。「あきづき」は新高・豊水・幸水という代表品種を掛け合わせて生まれた品種で、「梨の完成形」とも呼ばれるほど、それぞれの良さを併せ持っています。
また、甘くて果実が太く育てやすいことから名付けられたという「甘太(かんた)」、果肉がやわらかく高糖度が魅力の品種など、各産地が工夫を凝らしたオリジナル品種が続々と登場しており、梨の世界はますます賑やかになっています。
こうしたブランド梨は、それぞれの産地が長い年月と研究を重ねて育て上げたものばかりで、味わいや食感、旬の時期もさまざまです。定番の三大品種を食べ比べるのはもちろん、旅先やお取り寄せで、まだ知らない地域ブランドの梨に出会うのも、梨の楽しみ方のひとつといえそうです。
まとめ
こうして見てみると、「なしおとめ」もまた、そうした地域ブランド梨の系譜に連なる、兵庫県の新しい挑戦の結晶だということがよくわかります。20年以上の年月をかけて生み出された、芯が少なく実がたっぷりの上品な甘さの梨。生産量が限られているぶん、出会えたら幸運な希少品種です。この夏、香美町を訪れる機会があれば、ぜひ「なしおとめ」を味わってみてはいかがでしょうか。筆者もぜひ食べてみたい!


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