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大正末期から続く100年の絆——吹田「野口製麺所」が紡ぐ打ち立てうどんと親子の物語
2026年6月8日放送の「news おかえり」(関西テレビ)の人気コーナー「人情食堂」に、大阪府吹田市の知る人ぞ知る製麺所が登場しました。その名は「野口製麺所」。
創業から約100年、四世代にわたって麺を打ち続けてきた老舗です。製麺工場の一角に設けられたこぢんまりとした飲食スペースには、今日もランチタイムになると近所の住人から遠方のファンまで、香り立つだしに引き寄せられた人たちが列をなします。
値段は驚くほど良心的で、打ち立て・茹でたての麺が手軽に楽しめる——そんな「街の宝」が、テレビの電波に乗って全国に知られようとしています。
実は筆者は吹田の隣町に住んでいます。だから馴染みが深いのですが、このお店は行ったことがなく、興味を持ちました。
大正末期に香川から——100年をつなぐ歴史
野口製麺所の歴史は、大正時代末期に香川県出身の初代が大阪市此花区で製麺所を開業したところから始まります。当時は冬にうどん、夏には氷屋として地域の人々の暮らしを支えてきました。
香川といえば、日本が誇るうどん文化の聖地。その地にルーツを持つ初代が、遠く大阪の地で打ち始めた麺は、時代を越えて受け継がれていきます。
戦後、此花区が焼け野原となったことを機に、1949年(昭和24年)、現在の吹田市高浜町へと移転。以来、この地で地域に根差した製麺所として歩み続けてきました。
戦後からは吹田市や大阪市を中心にうどん・そば・中華麺の製造と配達を手がけ、個人の飲食店のほか、幼稚園や保育園、食堂施設などにも麺を届けてきました。北海道のラーメン店への中華麺の配送も行っていたといいます。
その長い歴史の中で、現在の担い手は3代目の父・野口義夫さんと、4代目となる息子・岩見裕貴さんの親子です。お母さんとの3人体制でお店を支えており、家族一丸となって製麺と飲食部の両方を切り盛りしています。
製麺工場をDIYで改装——「食べられる製麺所」の誕生

てんたまセット:画像https://suitabiyori.com/
野口製麺所がテレビや口コミで話題を集めるようになったのは、比較的最近のことです。
2018年からは工場の一部を改装して飲食部を併設。元々は製麺・卸業に特化した工場だったところを、イートインできるスペースとして生まれ変わらせました。
4代目の岩見さんが中心となり、2018年10月19日にDIYで改装オープン。関西では珍しい「製麺所でうどんが食べられる」スタイルとして注目を集めました。
店に入ると、まず目に飛び込んでくるのは製麺機が並ぶ工場の光景です。カウンター越しに麺を作る工程が見え、打ち立ての麺がどのように生まれるかをリアルタイムで感じながら食事ができます。座席はカウンター5席ほどのほか4人掛けテーブル2卓、2人掛けテーブル1卓というこぢんまりとした構成で、ランチどきはいつも大忙しの賑わいです。
外観はまるでおしゃれなカフェのようで、入り口のイーゼルに手書きのメニューが掲げられたスタイルも人気のひとつ。「製麺所」という硬いイメージを軽やかに打ち破った空間が、若い世代や観光客の心もつかんでいます。
打ち立て・茹でたてのうどんが主役


かやくごはんセット780円:画像https://suitabiyori.com/
野口製麺所の最大の武器は、なんといっても「打ち立て・茹でたての生麺」です。毎朝早朝から製麺が始まり、その日のうちに食べる麺が仕上がります。
その日の朝4時・5時から麺が作られているため、飲食部で提供されるうどんはまさに作りたて。元々製麺所として地域に麺を供給していたお店だからこそ、これほど新鮮な麺が食べられる環境が整っています。
うどんのコシと喉越しは、機械製麺ならではの均一なクオリティと、100年の技術が合わさったもの。食べると「ほわりとした口当たりでもっちり優しい食感」があり、「つるりとした喉越しも秀逸」と評する声が多く聞かれます。
だしは関西風の薄口しょうゆベースで、昆布や鰹のうまみがしっかりと引き出された上品な一杯。製麺所ならではの、麺と出汁の両方にこだわった味わいが楽しめます。
遊び心あふれるユニークなメニューたち
野口製麺所のメニューは、定番のうどん・そば類に加え、4代目ならではのユーモアと発想が光るオリジナルメニューが揃っています。
まずユニークなのが「うそ」と「いたち」というメニュー名です。「うそ」はうどんとそばが一つの器に入ったメニューで、関西ではうどんだしで中華麺を食べる「黄そば」という食べ方もあります。そして「いたち」は、甘く炊いたお揚げ(きつね)をそばにトッピングしたもの。きつねうどんの隣にいる動物、ということでこの名前がついているのだそうです。食べてみると絶妙な相性に思わず納得、という声が相次いでいます。
ちなみに、かけうどんは380円です!

いたち
一見ただの卵丼に見えても、実は卵の中に海老天がまるごと1匹埋もれているメニューもあり、食べてみてからの驚きと満足感が評判です。王道の「かやくごはんセット」も人気です。
「きつねうどんとミニ天たま丼セット」を注文した客からは、「お揚げは甘めに炊いてあり、関西風で美味しかった」という声も寄せられています。
さらにきつねうどんにきつねと卵を追加しても100円プラスというお得さで、えび天がのった丼も贅沢に楽しめます。
驚くほどのリーズナブルさ——「製麺所価格」の魅力
野口製麺所が多くのファンを惹きつける理由のひとつが、その値段の安さです。
かけうどんは300円、きつねうどんが380円とシンプルな品がとてもリーズナブルな価格で提供されています。(※価格は取材時点のものです。値上げが行われている場合がありますので、来店前にご確認ください)
この価格で提供できるのも製麺所ならではの強みで、中間マージンが発生しない分、原価を麺の品質に集中させることができます。釜揚げほかほかのうどんが大サイズ(2玉)でも小サイズ(1玉)との差がわずか100円という驚きの設定も、製麺所直営だから実現できるものです。
月に一度の伝説のイベント「おはようかまたま」
野口製麺所をさらに有名にしているのが、月に一度だけ開催される幻のイベント「おはようかまたま」です。
早朝6時半から45分間だけ営業するこのイベントには、地元はもちろん口コミやSNSで評判を聞きつけた遠方からのファンも駆けつけ、閑静な住宅街に長い行列ができるほどの名物となっています。
なぜ早朝にしか食べられないかというと、通常の茹で時間より少し早めに釜から引き上げたうどんを釜玉に使うため、製麺作業が行われるこの時間帯にしか提供できないのだそうです。
「アツアツのうどんに玉子を入れたらフワフワに」なる釜玉うどんの魅力に、毎月通い続けるリピーターも多く、「やっぱり朝はこれやな」という声が口コミに並びます。
この「おはようかまたま」の開催日はSNSで告知されるため、ファンはインスタグラム(@nogutiseimennsyo)をチェックするのが必須です。
親子三代で守る「人情」の味
テレビ番組「人情食堂」が今回スポットを当てたのは、単においしいうどんの話だけではありません。この店が長年にわたって地域に愛され続ける根底にあるのは、家族で守り受け継いできた「人情」です。
現在は3代目の父親と妻、4代目の息子の3人が、地域に根差した企業として今後も発展していきたいという想いのもとで、日々麺を打ち続けています。
4代目の岩見さんは、ただ伝統を守るだけでなく、DIYで店を作り、ユニークなイベントを企画し、SNSで発信するなど、新しい挑戦を続けてきました。一方で父の義夫さんは、長年培った製麺の技術をしっかりと息子に伝え続けています。
麺を打つ工場と食卓が隣り合わせという空間には、作る人と食べる人の距離が圧倒的に近い「温かさ」があります。カウンター越しに見える製麺の光景、漂うだしの香り、家族総出で切り盛りする姿——それらすべてが、野口製麺所という場所の「人情食堂」たるゆえんでしょう。
口コミ・評判——リピーターが続出する理由
食べログやInstagramには多数の口コミが寄せられており、その評価の高さがうかがえます。
「麺のコシと喉越しが格別。製麺所で食べるうどんはやっぱり違う」「値段が安くて量もしっかりあって大満足」「毎月おはようかまたまに通っているが、毎回感動する」「家族みんなでお店を切り盛りしているのが伝わってきて、温かい気持ちになれる」「近所にこんなお店があったら毎日通うのに」といった声が並びます。
食べログでは3,324人もの「保存(行きたい)」が集まっており、実際の口コミも83件以上と、吹田のうどん店の中でもとりわけ注目度の高い存在になっています。
テイクアウト・通販でも楽しめる
飲食部だけでなく持ち帰りうどんも提供しており、地域の人々がかつてから利用していた製麺所のスタイルも健在です。また、公式オンラインショップ(BASEの通販サイト)では袋入り生麺のネット注文も受け付けており、遠方からでも野口製麺所の麺を楽しむことができます。
まとめ
100年という時間は、麺の打ち方だけでなく、地域との絆や親子の信頼関係も熟成させてきました。大正末期に香川から持ち込まれた製麺の技術は、吹田の地で根を張り、今や4代目の手で新たな花を咲かせています。
「news おかえり」の「人情食堂」でその魅力が全国に届いた今、野口製麺所はさらに多くの人に愛されていくことでしょう。打ち立てのうどんを一杯すすりながら、この街の100年に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
店舗情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 店名 | 野口製麺所 |
| 住所 | 大阪府吹田市高浜町7-9 |
| 電話 | 06-6381-2366 |
| 営業時間(飲食部) | 11:00〜14:00(金・土のみ17:00〜20:00も営業)※要確認 |
| 定休日 | 木曜日(詳細はSNSで要確認) |
| アクセス | JR吹田駅から徒歩約6〜8分、阪急相川駅から徒歩約8分 |
| 駐車場 | なし(近隣のコインパーキングを利用) |
| 公式サイト | https://nogutiseimennsyo.com/ |
| @nogutiseimennsyo | |
| 通販 | https://nogutiseimen.theshop.jp |
※営業時間・定休日は変更になる場合があります。来店前にSNSまたはお電話でご確認ください。


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